静穏総長も、時には激しく愛したい
震える手で、返された白いリボンを触る。
あの時、奏さんは……どういう気持ちで、このリボンを取ったんだろう。
私に会えない間、寂しくないようにって。
そういう意味で、リボンを持って行ったのかな?
もし、このリボンを私の代わりだと思って、眺めてくれた時があったとしたら……
「う~っ、ばかぁ……っ」
ねぇ奏さん。
そんなの、気づくわけないです。
そんなの、
愛されてるって勘違いしちゃいますよ……っ。
「さっきから奏奏って煩せぇな。ああ、そうか。塞げばいいのか。
その口、何で黙らせてやろうか?」
「っ!」
夕暮は、私の首を絞めた態勢のまま――
つまり、私に馬乗りになったまま、気味悪い笑みを浮かべた。
これから起こることが何か分からずとも。有無を言わさない恐怖のオーラに、一気に体が強張る。