静穏総長も、時には激しく愛したい

震える手で、返された白いリボンを触る。

あの時、奏さんは……どういう気持ちで、このリボンを取ったんだろう。


私に会えない間、寂しくないようにって。
そういう意味で、リボンを持って行ったのかな?

もし、このリボンを私の代わりだと思って、眺めてくれた時があったとしたら……



「う~っ、ばかぁ……っ」



ねぇ奏さん。

そんなの、気づくわけないです。

そんなの、

愛されてるって勘違いしちゃいますよ……っ。



「さっきから奏奏って煩せぇな。ああ、そうか。塞げばいいのか。

その口、何で黙らせてやろうか?」

「っ!」



夕暮は、私の首を絞めた態勢のまま――

つまり、私に馬乗りになったまま、気味悪い笑みを浮かべた。

これから起こることが何か分からずとも。有無を言わさない恐怖のオーラに、一気に体が強張る。
< 148 / 315 >

この作品をシェア

pagetop