静穏総長も、時には激しく愛したい

「(っていうか”俺の澪音”って……っ)」



赤い顔の私と、何やら本気の目をしている奏さん。

ちょ、ちょっと奏さん?
有言実行なんて、ダメですよ、絶対!

奏さんを落ち着かせるため、抱っこをされたまま背中を叩く。


ポンポン



「殺人罪になるので、ダメです……っ」

「……本当。ムダに正義感が強いんだから」



奏さんは浅くため息をはいて「言ったでしょ?」と。私へ顔を向ける。



「”相手の神経を逆なでするからやめな”って。じゃないと、こうなるよ?」

「え、んっ……⁉」



ちゅっと。この場に響く、リップ音。

なんと奏さんは、私をお姫様だっこしたまま、キスをした。



「んん……っ、」

「夕暮に仕返ししようと思っただけのに、殺人罪だなんて。ひどいね、澪音は」



唇を舐めるでもない、首筋にキスマークをつけるでもない――唇と唇が触れあう、正真正銘のキス。

触れてぶつかって、互いの体温を交換し合った唇は……名残惜しそうに離れて終わりを告げる。
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