静穏総長も、時には激しく愛したい
「はぁ、はぁ……っ」
び、ビックリした……なんてもんじゃなかった。だって、まさかいきなりキスされるなんて……!
「(っていうか私、ファーストキスだった……っ)」
初めてが奏さんで、嬉しい。まさか、ムリだと思っていたことが叶うなんて――キスで赤くなった顔に、さらに赤い絵の具を上塗りするように。私の顔は、どんどん赤みを増していく。
そんな私を見て満足そうに笑った奏さんは「さて」と。さっき吹っ飛んだ夕暮を見た。
「充電も出来たし。そろそろ相手してやるかな」
私たちはキスの余韻に浸る暇なく、「いってぇな」と言いながら立ちあがる夕暮へ、意識を向ける。
「いきなりの挨拶だな、三位の千秋奏」
「お前が夕暮新太か」
「ご名答。いつぞやは俺が痛めつけた女の介抱、ご苦労だったなぁ」
「……」
まるで煽るように話す夕暮に、奏さんは顔色一つ変えない。むしろ、ゆったりしている。その証拠に「降ろすよ」と笑顔を向けながら、私を地面に立たせた。
その様子を見ていた夕暮から、高い口笛が鳴る。
「へぇ、心底大事にしてる女なんだなぁ」
背中を曲げて話す夕暮とは反対に、奏さんは堂々としたものだった。
守るように私の前にスッと立ち、
そして――