静穏総長も、時には激しく愛したい
「(すごい……)」
「間一髪」って感じだった……。
あんな状態なのに、春風さんの鶴の一声で、夜野さんは止まった。許せないって顔をしてたけど、それでも春風さんに従ったんだ。
最強二位を従える春風さん。
やっぱり、スゴイ人……。
落ち着いた夜野さんを見て、春風さんが口を開く。
「夜野は今、月光の特攻隊長だ。俺の下で立派に成長してるよ。だから訂正しろ。夜野を見下す言い方は許さない」
「春風……」
いつの間にか春風さんの隣に来た夜野さんが、さっきの悔しそうな顔から一変。ちょっと嬉しそうに見える。笑いたいけど我慢しているような、そんな口元だ。
春風さんが続ける。
「それに、フンはお前だろ?
いつまでも過去の栄光にすがり、現実を直視しない。自分が総長だった全盛期を思い出して、そんなに楽しいか?」
「だったらなんだよ? いくら過去でも、それは本当にあった事実だ。
俺は昔、強かった。
その事実が揺らぐ事はない。
過去を武器にして、ふりかざして何が悪い? それに、俺は今も充分に強いんだぜ?」