静穏総長も、時には激しく愛したい

自信満々に言った夕暮だけど……春風さんには効かないみたい。「はぁ」と。馬の耳に念仏状態の春風さんが、ため息をつく。



「まったく、醜いったらないな」

「てんめぇ……!」



その言葉は、夕暮を煽るには充分すぎるほどで……。怒りでワナワナと震える夕暮が、遠目でもハッキリと見える。

怖い顔……っ。

さっき夕暮が私にした事を思い出し、思わずブルッと震えた。奏さんが来てくれなかったら、一体どうなっていたか……。



「(そう言えば、奏さんは⁉)」



不良達たちの中から奏さんを探し始めた、ちょうどその時。

バキッと殴る音が聞こえ、奏さんが不良を蹴散らしコチラへやって来た。

良かった、無事に合流できた……っ。



「奏さんっ!」

「澪音……」



戻って来てくれた事が嬉しくて、奏さんに手を伸ばす。

だけど、
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