静穏総長も、時には激しく愛したい

「久しぶりにアイツがケンカしてるの見たけど、エグ。なんかもう、強すぎて気持ち悪いよね」

「え、えぇ……?」



強すぎて気持ち悪いって、初めて聞いたよ……。でも確かに、他を圧倒する気迫を春風さんから感じる。

不良も春風さんを前にすると、怯んでいるのが分かるもん。



春風さんの影から、夜野さん、そして奏さんが続く。

夜野さんは、さっき手をだせなかった夕暮を目指さんと、不良を倒しながら進んでいた。援護として、奏さんが夜野さんの傍で応戦する。



「すごい連携プレー。だけど……」



不良の数が、圧倒的に多い。

いくら最強ランキング一位、二位、三位が揃っていても、倍以上の不良が相手だと、みんな危ないんじゃ……っ。



「――……〜っ」



思わず大声が出そうになる。
「今すぐ皆で逃げたい」って。


だけど……



――千秋くんの最後の決戦になるだろうから、大人しく待っていようね



「(皆を、奏さんを信じて待つんだ……っ)」

< 172 / 315 >

この作品をシェア

pagetop