静穏総長も、時には激しく愛したい
「――うぅ……っ」



よくやったね、も。
頑張ったな、も。

自分の一番の味方である両親から、言葉をかけられない人生。

それは深い井戸の底に一人立って、上からロープが降りてくるのをひたすら待つ心細さと似ている。

それが今までの人生。


なら、これからは――?



「ねぇ、教えて。
あなたは、これからどう生きたいの?」

「――僕は、」



男の子の俯いていた顔が、徐々に上がる。

そして初めて光るその瞳に、真っすぐ私を写した。



「――僕は”ひかり”という名前で、これからを生きたいですっ」

「……うんッ」


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