静穏総長も、時には激しく愛したい
「――悲しいのですか?」
「ううん……、幸せなんだよ」
この子が、夕暮の支配から逃れたように。
幸せに向かう人生の選択肢は、きっと無限にあるはずだ。
「ひかりが頑張ったから、次は私の番だね! 絶対にお父さんを説得してみせるよ!」
従うのではなくて、
操り人形になるのではなくて、
どれほど困難なことであっても、
まずは、立ち向かってみせる。
そうすれば、幸せを掴めるはずだから――
「へへ」ひかりと笑い合う私を見て、純弥さんの顔にも笑顔が戻る。
「俺もさあ~、生吹から美月ちゃんを奪いたくて必死なんだけど、なーんの勝算もなくてね。まいっちゃうよ」
「え、美月って……春風さんの彼女さん?」
「兼、俺の幼なじみ。
兼、俺の好きな人!」
「(えぇ!?)」
そ、そうだったんだ……!
美月さんの話をしてもらった時、全く分からなかった。純弥さん、演技が上手すぎです……っ。