静穏総長も、時には激しく愛したい
俺を指さす一人の女の子。二人連れだ。
一人は元気そうな女の子。
もう一人は……、
「明里ちゃんの、お知り合い?」
「……――」
思わず息を飲むほどの美女。
その人を見て、先ほど明里と呼ばれた子は、「知らないんですか、美月さん!」と声を荒げた。
「最強ランキング3位の人ですよぅ!」
「最強ランキング?」
「春風さんの彼女なのに、最強ランキングを知らないんですか!?
一位の彼女なのに!?」
「お、落ち着いて明里ちゃんっ」
……驚いた、というのが本音。
まさかここに来て、春風生吹の彼女に会うとは。
「この人が……」
春風の彼女。
春風が何よりも大事にしてる人。
この彼女のためなら、春風は自分の命をも簡単に差し出すと、族の間では専らの噂だ。
つまり、狙われる。
だけど不思議なことに、誰も彼女に近づけない。
なぜなら――常に春風の目が光ってるからだ。
彼女に近づくヤツは誰であろうと容赦しない、殺されるのがオチだと。それも族の間では、有名な噂だった。