静穏総長も、時には激しく愛したい
「かと言って、こんな弱そうな女子だけを連れて平和に歩けるのか……」
「ちょ、か弱い女子って私のことですか!?」
「わー、明里ちゃんっ」
ここは道端。
しかも人通りのある場所だから、大きな声は人目につく。
「……近くに美味しいクレープ屋があるらしいんだけど」
「え!」
「クレープ……っ」
女子二人のキラキラした瞳により、行き先が決定する。俺はため息ひとつついた後。以前、澪音が食べていたクレープ屋を目指した。
――歩いて数分。
目的のクレープ屋を見つける。
テイクアウト専門と思いきや、中でも食べられるらしい。ならば――と、奥の隠し部屋のような所へ案内してもらう。
「素敵な場所だねぇ、明里ちゃんっ」
「本当ですね~! 蒼羽にも教えてあげようーっと!」
「……蒼羽?」
イヤな予感がする――
そう思った時は、もう自己紹介が始まっていた。