静穏総長も、時には激しく愛したい

「あ、遅れました。私、夜野蒼羽の彼女の、日向 明里(ひなた あかり)です」

「私は立花 美月(たちばな みつき)です。春風生吹くんの……か、彼女ですっ」

「!」



春風だけでなく、二位の夜野の彼女まで一緒とは――どうして、そんな狙われる二人が呑気にクレープを食べているのか。



「いや、俺が誘ったのか……」



というか、この二人をお店に連れて入った時点で、俺は春風にも夜野にも殺されるのではないだろうか。


まだ会ったこともない二人だけど、夜野の彼女が俺の顔と名前を知っているところを見れば、当然あの二人も「俺が誰か」周知の事だろう。


俺が三位の千秋奏で、

大事な彼女を店に連れ込んだ男だと――



「……無事に店を出られるかどうかだな」



寒い季節にクレープを食べたせいでもあるけど。明らかに、それだけでない「何か」が、俺の背筋を凍らせた。

だけど――



「美味しいねぇ、明里ちゃん」
「パフェもあるみたいですよ、美月さん!」

「……」



女子二人を前にして、思わず……澪音を重ねてしまう。
< 207 / 315 >

この作品をシェア

pagetop