静穏総長も、時には激しく愛したい
「あ、遅れました。私、夜野蒼羽の彼女の、日向 明里(ひなた あかり)です」
「私は立花 美月(たちばな みつき)です。春風生吹くんの……か、彼女ですっ」
「!」
春風だけでなく、二位の夜野の彼女まで一緒とは――どうして、そんな狙われる二人が呑気にクレープを食べているのか。
「いや、俺が誘ったのか……」
というか、この二人をお店に連れて入った時点で、俺は春風にも夜野にも殺されるのではないだろうか。
まだ会ったこともない二人だけど、夜野の彼女が俺の顔と名前を知っているところを見れば、当然あの二人も「俺が誰か」周知の事だろう。
俺が三位の千秋奏で、
大事な彼女を店に連れ込んだ男だと――
「……無事に店を出られるかどうかだな」
寒い季節にクレープを食べたせいでもあるけど。明らかに、それだけでない「何か」が、俺の背筋を凍らせた。
だけど――
「美味しいねぇ、明里ちゃん」
「パフェもあるみたいですよ、美月さん!」
「……」
女子二人を前にして、思わず……澪音を重ねてしまう。