静穏総長も、時には激しく愛したい
この前、クレープを持つ澪音と、たまたま路地裏で遭遇した。
――んな!?、な、なめ!
――わ、あっま
俺がクレープを食べた後、ずいぶん減ったソレを見て、眉を下げる澪音。
イチゴを口移ししただけなのに、顔を真っ赤にした澪音。
唇についたクリームをなめると、涙目で俺を見る澪音。
「(あの時は、意地悪し過ぎたかもな)」
澪音がする反応は初々しいものばかりで面白い。だから、つい何度もしかけてしまった。
すると「浮気者」なんて。
そんな事を言われた。
だけど……
嘘つけよ。
浮気者は、澪音の方だろ。
俺の知らないところで、勝手にお嬢様して。俺の知らないところで、勝手に婚約しようとしてる。
そんなのは、もう、
「手が届かない存在すぎるだろ」
「メニュー表ですか? はい、どうぞ」
「明里ちゃん、たぶん違うと思うよ……?」