静穏総長も、時には激しく愛したい

「ほ、本当に寝てましたか……?」

「寝てたよ。たった今、起こされたけど」



恨み言をいいながら、私から手を離し、ぼーっとした表情をする奏さん。

確かに、寝てたっぽい……。



「奏さんって、野生動物なんですか? アンテナ張りすぎですよ、気が休まらないですって」

「……気を休めたら、やられるんでね」

「え」



ポツリとこぼした声が、やけに寂しく聞こえた気がして。思わず、奏さんの手を取った。


キュッ



「……なに。さっきの仕返し?」

「いや、その……なんていいますか。私は安全ですよっていう」

「……なにかの商品の説明?」

「日本語って難しい!」



違う、こういう事を言いたいんじゃなくて。

例えるなら、親猫の周りで子猫が安心してじゃれてるような。そんなイメージ!

そう――
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