静穏総長も、時には激しく愛したい

「お母さんが“強く変わっていく美月も大好き”と言ってくれて……そんな私自身を、私も大好きになりました。

だから諦めたくなかった――強い私も、暴走族の生吹くんも。

例え無茶でも”生吹くんのそばにいる”って、あの日誓ったんです」

「――――っっ」



その言葉を聞いた時。

純白の言葉が、頭の中に蘇る。



――君の優しさってさ、君のためには使われないワケ?



「……そうか」

「千秋さん?」



澪音が婚約すると聞いて驚いた。だけど澪音も澪音で、政略結婚と聞いて、思う所があったはずだ。

それでも婚約を退けず、純白を相手に選んだのは……決心したって事だ。自分の立場を理解し、進むべき道に一歩踏み出したってことだ。



「そんな澪音に俺が気持ちをぶつけて、決心を揺らがせるのは……迷惑なんじゃないかって。ずっと、そう思ってた」



だから、純白に託したんだ。
澪音を幸せにしてやって、と。

だけど――

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