静穏総長も、時には激しく愛したい

「千秋さん」



呼ばれた方を見ると、立花が柔らかい笑みを浮かべていた。



「その人の気持ちは、その人にしか分かりません。いくら仲の良い方と言えど、全ての気持ちを把握するのは不可能だと思います」

「……」
「美月さん……っ」



なぜか号泣している日向。「私も蒼羽が今だにオープンになってくれなくて困ってるんですっ」と恋の相談をもちかける。そんな日向の頭を、立花はヨシヨシと撫でた。



「相手の気持ちが分からない以上、何かに迷っているなら……自分に素直になればいいと思います。優しさって、他人だけに向けるものじゃないですから」

「……そうだな」



立花から言われた時。

やっと、純白の質問に答えることが出来た。



「俺への優しさって……自分の気持ちに、素直になることだったのか」



ポツリと呟くと、立花が頷く。そして泣いていた日向も、赤い目を俺に向けた。



「言っておきますが千秋さん! 男の人が素直にならないと、女の子はこんな風に泣きますからね⁉」
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