静穏総長も、時には激しく愛したい

「ありがとございます、純弥さん」

「うん♪」



和菓子の甘さと純弥さんからの優しさを受け、私の心もスッカリ落ち着いた。


その時だった。


ドガーン!!と、何かが破壊される大きな音。同時に地面が振動し、不気味な地鳴りが響き渡る。



「おっ。やっとお迎えが来たかな?」

「え!」



まさか奏さん⁉


すると突然の轟音に、どこもかしこもお座敷が賑やかになる。「ワー!」とか「キャー!」とか悲鳴まで聞こえてきた。

もちろん、この部屋にいる人たちも然り、だ。どの席も既に空になっていて、みんな悲鳴をあげながら安全な場所へ逃げていた。つまり大混乱、というわけ。



「さて澪音ちゃん、逃げる準備といきますか」

「はいッ」



お互いの親がいる手前、堂々と逃げるわけにはいかない。

私と純弥さんは阿吽の呼吸で、庭に出られる廊下側の窓を、ジリジリと目指した。
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