静穏総長も、時には激しく愛したい
「へへへ! 育ちの良さそうな坊ちゃんと、育ちの良さそうな嬢ちゃんがいるぜ! 連れていけ!」
「「「へい!」」」
突然、庭に現れた二十人ほどの人。皆がみんな、黒いマスクで口を覆い、ほぼ顔が隠れている。
この中に、奏さんはいなさそう……。
っていうか今の声って、睦さん!?
「(じゃあ、この人たちって、もしかして――)」
すると純弥さんが、私の肩をポンと叩く。
「ということで澪音ちゃん。俺、ちょっと連れ去られてくるね♪」
「へ?」
「ばいばーい」
「えぇ⁉」
私にコッソリ耳打ちした純弥さんは、わざとこけたフリをして、上手く庭に躍り出る。
すると黒マスクの人は「棚からぼた餅だな!」と、颯爽と純弥さんを連れ去ってしまった。
純弥さんのお母さんは「大変!!」と血相を変える……かと思いきや。