静穏総長も、時には激しく愛したい
「奏さん、その頭……、えぇ⁉」
「……いいから、行くよ」
驚くことに、奏さんの頭が……短髪になっていた。
目鼻がクッキリしてるから、短髪なのに前よりも顔が派手に見える。それでもカッコイイんだから、イケメンって不思議だ。
「アイツらが暴れてくれてるから、今の内に」
「”アイツら”?」
「【青翠】改め【月光】のメンバーになった、俺の元仲間たち……って、あんまりジロジロ見ないで。恥ずかしいから」
「あ、すみません。なんか新鮮なので、つい……!」
「……」
「……」
「……もう」
「ムガっ」
奏さんは、自分の頭を指摘されるのは嫌らしい。私の口を覆い、混乱に乗じて庭から外を目指した。
そして庭から逃げ去る際。
私たちの後ろで、澄の声がひときわ大きく響く。
「旦那様! 私は一旦、お嬢様を連れて外へ逃げます!」