静穏総長も、時には激しく愛したい
「あなたはいつも、そうやってさり気なく、私に幸せを送ってくれるのよね。ありがとう、澄」
泣きながら澄を見る。すると、私を見た澄も泣きそうで……
その顔を隠すように、私に向かって恭しくお辞儀をした。その姿から、
「お幸せに」――と。
優しい声が、聞こえた気がした。
それから、奏さんとしばらく走った。
といっても私は着物+足袋なので、早い段階から奏さんにお姫さまだっこをしてもらっている。
「か、奏さん、どこに行くんですか⁉」
「……」
すると奏さんは、チロリと私を見る。
そして、
「……二人きりになれるところ」と。
かなり意味深な発言をした。