静穏総長も、時には激しく愛したい

「あなたはいつも、そうやってさり気なく、私に幸せを送ってくれるのよね。ありがとう、澄」



泣きながら澄を見る。すると、私を見た澄も泣きそうで……

その顔を隠すように、私に向かって恭しくお辞儀をした。その姿から、


「お幸せに」――と。


優しい声が、聞こえた気がした。






それから、奏さんとしばらく走った。

といっても私は着物+足袋なので、早い段階から奏さんにお姫さまだっこをしてもらっている。



「か、奏さん、どこに行くんですか⁉」

「……」



すると奏さんは、チロリと私を見る。

そして、



「……二人きりになれるところ」と。



かなり意味深な発言をした。

< 244 / 315 >

この作品をシェア

pagetop