静穏総長も、時には激しく愛したい
「総長を辞め暴走族を抜け……決闘の日から今日まで、春風や夜野に澪音の会社の事を教えてもらってた」

「もしかして……」



髪を短く切ったのも?

そう聞くと、奏さんは頷いた。



「第一印象をよくするためと……何があっても澪音を離さないっていう、自分へのケジメかな」

「そうだったんですか……」



奏さんが、そこまで考えてくれてるとは思わなかった。私と会ってない時間ですら、私の事を考えてくれていたなんて……。

頑張ってくれてたんだ。
努力してくれてたんだ。

全ては、私と一緒にいるために――



「奏さん……」


ギュッ



「前より……もっと大好きになってしまいました」

「……うん」



「うん」の声が優しくて……私の全身、奏さんに包まれてるみたいで安心する。そして、勇気が湧いてくる。


奏さんと一緒なら、お父さんに立ち向かうのも怖くないって。そう思える。

絶対にお父さんを説得する。
奏さんと一緒にいることを諦めない!

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