静穏総長も、時には激しく愛したい
「そゆ事じゃ、なくて……っ」
赤くなった顔を見られたくなくて、両手で顔を覆う。
すると「手をのけて」と言わんばかりに。奏さんは、私の手の甲にキスを落とした。
そして、
「澪音、大好き」
「っ!」
静かに笑いながら、そして穏やかな声で呟きながら、愛の言葉をささやいた。その瞬間、私の全てが溶けていく気がして……。
「私の方が、我慢できないかも……」
「え?」
手に収まらない大きな幸せをぶつけるみたいに、思いきり奏さんに抱きついた。
ギュッ
「あのね、奏さん。
時々なら……激しく愛してほしいです」
「……ふっ。
もちろん、喜んで」
その時、窓からさしこむ夕日が奏さんの瞳を照らす。その明るい灰色の中に、満面の笑みを浮かべる私がキラキラ輝いて写っていた。
【静穏総長も、時には激しく愛したい】
<完>
❀次ページから<あとがき&afterstory>が始まります❀