静穏総長も、時には激しく愛したい
「ん~……もうちょっと」



広いベッドの上で、モゾモゾ動くお嬢様。可愛いパジャマは、私が昨日ご用意したもの。

うん、やっぱり似合っている。


……じゃなくて。



「旦那様に認めてもらうために色々勉強するって意気込んでいたのは、どちら様でしたかね?」

「そうだった!!」



ウサギが跳ねるみたいに、ピョンとジャンプをしたお嬢様。着崩れた姿を恥ずかしいとも思わず、私の目の前でバタバタと準備を始める。



「……朝から毒だな」



はぁ、とため息一つ。

今までは「旦那様のご令嬢だから」手が出せなかったが、
今では「千秋奏のものだから」手が出せない。

どっちにしろ手は出せない俺。
彼氏だから手が出せる千秋奏。



「…………はぁ~」



すると、視界に写った一つの飴。
見ると、お嬢様が私に手を伸ばしていた。

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