静穏総長も、時には激しく愛したい

奏・睦






*睦*



俺の人生、よく言う「クソ」みたいなもので。

やりたいこともないし、目指したいものもないし。

ただ毎日が平凡で退屈で、何の変哲もない日常に、自分がおかしくなりそうだった。



「おい、ツラ貸せよ」



その日も、俺はイライラしていた。

だから所かまわずケンカをふっかけていたんだ。


だけど……この日は運が悪かった。


相手は三人。いかにも「弱いです」って顔をしやがるくせに、どんどん仲間が増えてきて……形勢逆転で、俺はボコボコにされた。



「おら、つっかかってきた分、楽しませてくれよ。な?」

「ぐ、がは……っ」



口の中、血の味しかしない。殴られすぎて、視界も定まらなくなってきた。

マズイかもしれない――と思ったけど、もしこのまま死んでも「それはそれでいっか」なんて。そんな事を思っていた。
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