静穏総長も、時には激しく愛したい

「あんたは……?」

「……生きてココを出られたら教える。俺の名前を知らないままあの世に行くのは……おススメしないよ」

「……ぷっ」



なんだ、その自信満々な言いぐさは。
あんたって、そんなに偉くて有名なのかよ。


だけど……俺も「あんたみたい」になってみたくて。

自信満々に、自分の事を堂々と語ってみたくて……。


ザッ



「こんなケガだけど……ちゃんと、立ったぞ。俺をけしかけた責任とって、あんたも共闘してくれよな」

「……ふっ、もちろんだ」



――それから、俺を助けてくれた男は、千秋奏だと知る。

いつも静かで穏やかな、闘争心も野心のカケラもない人。

だけど、俺の頭の中には、どうしてもあの日の記憶が消えなくて……。
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