静穏総長も、時には激しく愛したい

「千秋さんって、どうして常に本気を出さないんですか? もったいないっすよ」

「……常に本気って、それヤバい奴だから」

「そういうトコですよ! 情熱を正論で論破しないでくださいって!」

「……ぷっ、情熱って」



俺の情熱は、この総長の前では、いつも空回り。ヒットもなければ、ホームランもない。

でも、いいんだ。

総長が静かなら、その分、俺が賑やかになればいい。きっと俺と総長は、足して2で割るくらいがちょうどいいんだから。なら、ずっとこの関係を続けて行けばいい。



「ねぇ総長、なんか楽しい事しません?」

「……そう言いながら、お前はいつも楽しそうだな。睦」

「へへ、そりゃそうですよ」



クソみたいな人生の中、あんたと出会って……なぜだか無性に毎日が楽しくなった。

千秋さんと出会って右腕になって、【青翠】という、俺の居場所ができた。

きっと俺は、この人に生きる意味をもらったんだ――



「俺、もっとハジけて行きますからね! 総長!」

「……」

「だからイタい目で見ないでくださいって!」



*睦*end


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