静穏総長も、時には激しく愛したい

明里・蒼羽




*明里*



ガチャ



「(帰って来た!!)」



はやる心臓を押さえて、玄関に向かう。

蒼羽、無事ていて――と願いながら。





「これから夕暮と決闘をしてくる」と夕方、蒼羽から電話があった。

今の時間は、午後九時。



「おかえり、蒼羽」

「明里……」



顔に入った傷。
所々、汚れのついた服。
少し眠そうな顔。

それらを見ただけで、蒼羽が今どれだけ疲れているか分かった。



「明里、」

「うん?」

「抱きしめさせて」

「……うん」



いつもとは違う、ストレートな蒼羽。

ギュッと抱きしめると、蒼羽が全身をあずけてきた。

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