静穏総長も、時には激しく愛したい
「わ、わゎ!」
もちろん、蒼羽の体重は支えられない。なすすべなく、ドシンと廊下に倒れ込む。
その時、蒼羽は私の胸に顔を埋めていて……表情は見えなかった。
「夕暮嵐太……警察に捕まったよ」
「……そっか。良かった」
私には幼なじみがいる。
名前を、夕暮優利(ゆうぐれゆうり)。
昔から仲よしで、優利とはアパートの部屋も隣同士だ。言うまでもなく、互いを信頼し合っている。
その優利のお兄さんが、夕暮嵐太。
昔から、優利は嵐太に手を焼いていた。
だけど今日、やっと……――
「優利、喜ぶよ」
「でも自分の兄貴を警察に突き出されて……良い気はしないでしょ」
「そんな事ない!」