静穏総長も、時には激しく愛したい
「蒼羽ぁ、おめでとう……っ」
きっと蒼羽は【月光】の次期総長になるだろう。
蒼羽自身もそれを感じ取っていて……だけど、彼が口にする言葉と言えば、
「無理だよ、俺なんか」。
そんなことないと言っても、蒼羽の自己肯定感は低く、他人の言葉では揺らがなかった。
だけど……ねぇ、蒼羽。
このランキングを見ても、同じことが言える?
「もうあなたの上には誰もいない。蒼羽が、一位なんだよ」
だから自信を持ってほしい――そう思った時、蒼羽がゴロンと寝返りを打つ。
仰向けになって、蒼羽の顔が見やすくなった。整った顔から、小さな寝息が聞こえる。
「お疲れ様。そして、おめでとう。
いつも頑張る蒼羽が、私は大好きだよ」
ちゅっ
再びキスを落とす。
その瞬間、いつもの蒼羽には見られない緊張感のない笑みが、彼の顔に浮かんだのだった。
*明里*end