静穏総長も、時には激しく愛したい
「総長~。さっきの女、なんですか?」
「……いたの、睦(むつみ)」
澪音と一緒に帰った後。
一人であてもなく歩いていると、いつの間にか隣にいた睦(むつみ)翔太(しょうた)。
茶色の短髪を、黒く太いバンドで巻いて、顔周りをスッキリさせている。俺の右腕。
「”いたのか”、なんて言わないでくださいよ~。暴走族【青翠】の名が泣きますよ、総長?」
「……」
「女にうつつを抜かすのもいいですが、ほどほどに。
総長は、なんたって三位”候補”。
今、総長を潰そうとしてる奴は、あちこち潜んでますからね。気を抜いてたらズドンですよ?」
「……分かってる」
暴走族【青翠】(せいすい)。
俺の作った暴走族。もちろん総長は俺。
近辺の暴走族は全て吸収し、日に日に規模を大きくしている……といっても、【月光】には敵わないけど。