静穏総長も、時には激しく愛したい
「”可愛い後輩”なんて言われて、黙ってられるか。
婚約破棄の話を上手い事まとめたんだ。これからはカッコいい後輩って呼んでもらう。……本当なら、後輩ってのも気に食わないのに」
「……お前って、たまにどうでもいい所で張り合うよね」
「どうでもよくない」
意地でも譲らない生吹を見て、純弥は両手をあげる。
「分かったよ、カッコイイ二つ下の俺の後輩くん。
実際ウチは助かった。母さんもホッとしてる。お前のことは昔から気に入らないけど……助けてくれてありがとうね」
「ふん」
少しだけ後ろを向いて、純弥を見る。
生吹の目には、いつもよりしおらしい純弥の顔が写っていた。
「……お前が”母親のため”と虚勢を張っても、母親は喜ばない。
今回、婚約破棄がスムーズにいったのも、お前の母親が色んな方面へ手を尽くしたおかげだ。これに懲りたら、もっと真摯に向き合うことだな。二人きりの家族だろ」