静穏総長も、時には激しく愛したい
澪音・奏
*澪音*
奏さんが、干からびています。
「奏さん、少し休みましょう? ね?」
「……いや、まだやる」
「奏さん~」
実は先日、奏さんとお父さん・お母さんが初めて顔を合わせた。
私の家。広い応接室で、四人の顔合わせ。
「澪音さんとお付き合いさせていただいております。千秋奏と申します」
「……おい」
お父さんは「おい」と、奏さんに言ったのではない。私の近くに控えている澄に声を掛けたのだ。
澄は「お嬢様すみません」という目をして、お父さんに近づいた。
「千秋奏、高校二年生。
家は一般家庭。現在は辞めていますが、元暴走族です」
「なるほど――先ほど澪音の彼氏だと言ったのは聞き間違いだったようだ。お引き取りを」
「……嫌です」