静穏総長も、時には激しく愛したい
「きな臭い動きもあるみたいですよ? なんでも、警察から逃げてる”元・三位の夕暮新太”が戻って来てるだとか」
「らしいね。けど、見つけても俺らの出番はない。それはサツの仕事だ」
「フフ、とか言っちゃって。本当はやる気満々なんじゃないんですかー?」
「……」
何も返事をしなかった俺を見て、睦は「ちぇ」と。面白くなさそうに舌打ちした。
「これだから、総長はいけねーや。もっと闘争心って物を持ってくださいよ」
「ふん」
「本当、サッパリしたお人なんだから……ん?」
ん?と言った睦は、既に暗くなった道で何かを発見し、「総長アレ」と腕を伸ばす。
その指の先には――
「……白い服を着た、女?」
背の高い、白い服を着た女が、壁に背を預けて座り込んでいる。「はぁ、はぁ」と、浅く呼吸をして苦しそうだ。