静穏総長も、時には激しく愛したい
「……澪音、こんなに近くにいるのに」
「奏さん……」
現在、夜。私の部屋。
今日の業務を終え、疲れてるところに「我慢の時間」が重なって。どんどん衰弱していく奏さんを、次第に見て居られなくなった。
「手、握りますか?」
「……握らない。澪音には絶対、触らない」
「(断言されるとツライ!)」
そこへ、コンコン。とノック音。
入って来たのは、この前から正式に私の弟になったひかりだ。
「――澪音……おねーちゃん」
「どうしたの、ひかり。眠れないの?」
「うん……」
ひかりは、私の元へやってきて抱き着く。あぁ、かわいいなぁ……。
と和んでいるのは私だけで。私の見えない所で、火花が散っているなんて知るよしもなかった。