静穏総長も、時には激しく愛したい

「……澪音、こんなに近くにいるのに」

「奏さん……」



現在、夜。私の部屋。

今日の業務を終え、疲れてるところに「我慢の時間」が重なって。どんどん衰弱していく奏さんを、次第に見て居られなくなった。



「手、握りますか?」

「……握らない。澪音には絶対、触らない」

「(断言されるとツライ!)」



そこへ、コンコン。とノック音。

入って来たのは、この前から正式に私の弟になったひかりだ。



「――澪音……おねーちゃん」

「どうしたの、ひかり。眠れないの?」

「うん……」



ひかりは、私の元へやってきて抱き着く。あぁ、かわいいなぁ……。

と和んでいるのは私だけで。私の見えない所で、火花が散っているなんて知るよしもなかった。
< 311 / 315 >

この作品をシェア

pagetop