静穏総長も、時には激しく愛したい
「部屋……間違え、」
「間違えてないよ。ここは真白の部屋だ」
「その名前……」
真白――それは確かに、昨日助けた女の名前。
じゃあ、なに。
昨日の女と目の前にいる男は、やっぱり……
「同一人物?」
「そーそー♪」
「……帰る」
なにが嬉しくて、女装する男と、学校サボってまで会わないといけないわけ?
だけど、納得いった。
昨晩、女を見て覚えた「違和感」。それは「女なのに、どこか女性らしくなかった」からだ。
結果……男だったのだから、違和感を覚えて当たり前だったわけだけど。
「はぁ」と。ため息一つはいて。
ドアの取っ手に手をかけ、部屋を出ようとした。
だけど――
「俺を襲って来た奴のこと、知りたくないの?」
「……他の暴走族って事なら、こっちが警戒するまでだ」
「ソイツが”女を襲撃したがる変人”でも?」
「……は?」
ピタリと、動きが止まる。
女を襲撃したがる変人? なんだ、それ。