静穏総長も、時には激しく愛したい

「つまり――春風生吹を恨んでいる夕暮新太が、春風の周りにいる女を襲撃してまわってる、というわけか」

「そう。それで僕がやられたってわけ」



手をピースにして答える男。

夕暮新太が、どうして春風の事を恨んでいるかは知らないけど……女を狙うなんて、ゲスイ奴。



「もっと遠くにいると思ったけど……そうか。昨日、近くにいたんだ。情報に感謝する」

「感謝する、だけじゃダメでしょ?」

「……どういうこと」



ギロリと睨むと、男は両手を挙げて「こわー」と言った。

だけど次の瞬間――

フッと。申し訳なさそうな笑みを浮かべる。



「夕暮新太は、弱者を襲う。今回やられたのは真白だけど……真白を助けたお前を、夕暮新太が嗅ぎ付けた可能性がある」

「それって、つまり……」
< 38 / 315 >

この作品をシェア

pagetop