静穏総長も、時には激しく愛したい
「つまり――春風生吹を恨んでいる夕暮新太が、春風の周りにいる女を襲撃してまわってる、というわけか」
「そう。それで僕がやられたってわけ」
手をピースにして答える男。
夕暮新太が、どうして春風の事を恨んでいるかは知らないけど……女を狙うなんて、ゲスイ奴。
「もっと遠くにいると思ったけど……そうか。昨日、近くにいたんだ。情報に感謝する」
「感謝する、だけじゃダメでしょ?」
「……どういうこと」
ギロリと睨むと、男は両手を挙げて「こわー」と言った。
だけど次の瞬間――
フッと。申し訳なさそうな笑みを浮かべる。
「夕暮新太は、弱者を襲う。今回やられたのは真白だけど……真白を助けたお前を、夕暮新太が嗅ぎ付けた可能性がある」
「それって、つまり……」