静穏総長も、時には激しく愛したい
「ひ……っ!」
だけど、短い悲鳴を上げたのが最後。
私の腕は金髪の不良に捕まれ、体は、赤髪の不良によって地面に倒される。
もちろん、悲鳴を上げられないよう、口封じをされて。
「んー!!」
「ほんじゃ、いただきまーす」
と、ナイフの切っ先が、私の胸元を狙って降りた――
その時だった。
「何してんの?」
この場に響く、静かな声。
見ると、背の高い黒髪の男の人が、穏やかな表情で私を見ていた。