静穏総長も、時には激しく愛したい
「ふくちゃんごめんねぇ。私ってば、奏さんにいちいちドキドキしちゃって……もう最高に恋してたんだよ~!」
「はいはい、ただ単に忘れてたんでしょ。分かったから」
「ふくちゃん~!」
現在。
学校が終わり、帰路についている私たち。
私の元気がないことを心配したふくちゃんが「何か食べて帰ろうよ」と言ってくれたので。
テイクアウトできるお店を探しながら、歩いている。
「ジュース飲みたくない?」
「いや、飲みたくないです。ジュース屋さんは懲りたので……」
「あ~、そういや。そこで不良に襲われて千秋先輩に助けてもらったんだっけ?」
「そう! そうなの!」
もう本当にカッコよかったんだから~!と、目をハートにして話す私に。
ふくちゃんは「ハイハイ」と適当な相槌をうつ傍ら、クレープのお店を見つけて何やら注文し始めた。
「チョコバナナ一つ。
でもさ、澪音。助けて貰っただけで、好きになったの?」
「……へ?」