静穏総長も、時には激しく愛したい
『澪音、今日は大事な話があってな。今すぐに帰って来なさい』

「いまは友達といるのですが……」

『今すぐだ』



その声を最後に、電話は乱暴に切られる。

ブチッという通話の切断の音が、雑音よりもうっとうしく、耳の中で反響した。



「私の意見はスルー。当たり前か」



はぁ、とため息をついた後。持っていたクレープに力を入れる。

帰りたくない。「話しがある」って言っても、その話がろくでもない事なのは分かってる。


聞かない方がいい……、ってか。
いっそ帰りたくない――



「……っ」



だけど、どれだけ心の中で弱音をはこうと、現実は逃れられないもので。



「でも、帰るしかないんだよね……」



観念して、しばらく閉じていた目を開ける。


すると――



「総長~、こっちに誰かいますよ?」

「すぐ行く」
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