静穏総長も、時には激しく愛したい
「……なんで泣くの」
「だ、だって……っ」
私の頬を、手の甲ではなく手のひらで包み込んでくれた奏さん。
その手は相変わらず冷たかったけど、今の私には、まるでカイロのように温かく思えて――
あぁ、私はこの手に甘えていいんだって。そう思った。
「彼女がいないなら、これからも奏さんの傍にいていいって事ですよね?」
「え」
「また一緒に帰っていいって、そういう事ですよね!?」
「あ~……」
その時。
奏さんは「しまった」という顔をした。
何やら後悔してるように見える表情に、再び不安が……。
すると、私の不安は的中したようで。
「澪音、後ろ向いて。クレープ食べてて。でも、足は動かして」
「え? んん?」