静穏総長も、時には激しく愛したい
「大きな通りまで、送って行く」

「それって……」



やっぱり「バイバイ」って事なの?



「奏さ、」

「俺の方を向かない」

「っ!」



なんで……、ねぇ。

どうしてなんですか?



「う~……っ」



泣きながら、歩きながら。奏さんに言われた通り、クレープを食べる。私が先頭を歩き、奏さんが後ろを歩いた。

突き当りにきたら、奏さんが私の肩をクイッと動かして、方向を教えてくれる。

私が奏さんを見る事は叶わず、だんだん減っていくクレープを見つめるだけ。



「こ、こんなのあんまりですよぅ。さっきキスしたじゃないですかっ」



すると、奏さんの足が止まる。

そして、目の前にいる私でさえ聞こえない小さな声で、何かを呟いた。
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