静穏総長も、時には激しく愛したい
「か、奏さ、」
「痕が消える頃、また会いに来る。それまで、俺がこれを預かる」
シュル――
聞こえたのは、リボンが制服から抜ける音。
白の大きなリボンがなくなって、私の胸元が妙にスッキリした。
っていうか、さっき奏さん、なんて言った?
「貰っていく」って、どうしてリボンを?
それに、さっきの痛みはなに?
「奏さん!」
ハテナだらけの私が振り返った時。奏さんは、もういなかった。
私が一歩踏み出せば、そこは大通り。ふくちゃんが待ってる場所だ。
「送って、くれたんだ……」
あんなイチゴみたいな甘いことしておきながら。
「俺の方を向かない」とか、切ないことを言っておきながら。
それでも、まるで私を大事に思っているかのように。「泣いてるのか」と心配してくれたり、送ってくれたりする。