静穏総長も、時には激しく愛したい
――痕が消える頃、また会いに来る
痕ってなに? と思いながら、奏さんが「また会う」って言ってくれた事が嬉しくて。
また会えるんだって思ったら。
また会っていいんだって分かったら。
お父さんからの呼び出しも忘れて、
どうしようもなく、幸せな気持ちになった。
「……ふふっ」
家に帰って聞かされる話は、絶対にろくなものじゃないと分かっていたのに。
玄関のドアを開ける前に奏さんの言葉を思い出し、私は思わず、笑みが零れたのだった。