静穏総長も、時には激しく愛したい

「こ、これは……」



だけど、なんて答えようか。まさか「とられた」なんて言えないし。

と焦った時だった。


コンコン



「失礼します、旦那様。澄です」

「入れ」



なんと、執事の澄が入って来た。その手には、驚くことに制服の白いリボンが掛けられている。



「夕ご飯の用意が出来ましたが、いかがなさいますか」

「いらん。そんな事をいちいち聞きに来るな」

「申し訳ありませんでした」



ペコリと頭を下げる澄。

どうして?
いつもは料理長が、直々に部屋へ来るのに。

すると、澄は「あ、そうそう」と。私に向き直る。



「澪音お嬢様、玄関にリボンを落とされていましたよ」

「あ……」

「後でアイロンをかけておきますね。それでは旦那様、失礼します」
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