静穏総長も、時には激しく愛したい

ペコリと。再び頭を下げる澄。

お父さんは私へのリボンの件を「不問」にしたらしく、



「澄、そこの見合い写真を持って行け」

「かしこまりました」

「澪音、期限は三日だ。それまでに誰を伴侶にするか決めておくんだな」

「……っ」



話しが終わったら用済み――と言わんばかりに。

私と澄を、まるで虫でもはらうように室外へ追いやった。



パタンッ



「いきましょう、お嬢様。まずはお食事を」

「……いらない」



クレープを食べたせいもあるけど……あんな話を聞かされた後じゃ、何も喉を通る気がしない。


そんな私を察した澄が「ならばお風呂が先ですね」と、私の行き先を変える。


そっと肩に手を置き、私が進む向きを定める――その方法が、さっきの奏先輩と重なって。



「……~うぅっ」



思わず、涙が出た。
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