静穏総長も、時には激しく愛したい

『私を襲った不良を殴った=男の人は敵じゃない』


と理解した私の行動は、それはそれは早かった。

男の人の足元で、ギュッと目を瞑った私。そんな現金な私を見て、男の人は呆れたようにため息をつく。



「ついでに塞いどけば? 耳」

「わー! もう塞いでます!」

「……あっそ」



すると、私がギャーギャー悲鳴をあげている間に。事が終わったのか、辺りはシンと静かになる。



「(も、もういいのかな……?)」



そして次に目を開けた時、私の目に写ったもの――それは、私を襲った不良たちが、地面に転がりのびていた光景だった。



「す、ご……」



スゴイ――としか言いようがない。

だって、私が目を瞑ってたのって、ほんの数秒。

しかも、
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