静穏総長も、時には激しく愛したい
迎えに来たのは
「澪音ー。なんか幽霊みたいになってるけど、大丈夫?」
「アハハ……なんだろう。クレープが胃もたれしてるのかな?」
「クレープ食べたの、昨日だけど?」
お父さんから衝撃的な宣言をされた、翌日。
私は普通に登校するものの、泣き続けた顔だけは誤魔化せず……。「普通」を装うことが、出来ないでいた。
「なんかクマもすごいし、保健室で寝てきたら?」
「ん~……」
お父さんの会社は主に海外に拠点を置いているらしく、会社の名前も「WAKASA」とローマ字。
だからか、私がまさか、若桜グループの社長の娘でお嬢様だとは、誰も気づかない。
もちろん、親友であるふくちゃんも、そう。
超豪邸に住んでる事も、
私専用の執事がいる事も、
家がめちゃくちゃお金持ちな事も、
ぜーんぶ秘密。
わざわざ言うほどの事でもないし、実際、言わなくても学校に差しさわりはない。
だけど……こういう時が困る。
「何か困ったことがあったら、いつでも相談しなね?」
「ふくちゃん……」