静穏総長も、時には激しく愛したい


「な、なんで、ここに……」

「なんでって、澪音が見えたから」

「!」



その言い方は、反則……!

そんなの、まるで「私に会いたかった」って言ってるようなもんですよ奏さん!?


……だけど、



「奏さん、やっぱイイですね」

「は?」



私は、奏さんのこういうギャップにやられたんだと、今さら気づく。


静かなのに、穏やかなのに。ストレートに気持ちを伝えてくる熱量。今だって黒色の瞳を、おしみなく私に向けてくれる。


きっとそういうものに、私は惹かれたんだ。


「ふふ」と笑う私を見て、奏さんは鳩が豆鉄砲を食らったような顔になる。

だけどスグ私から目を逸らし「それで」と、顔を隠しながら話題を変えた。



「”すみ”って誰?」

「へ?」

「……男なの?」

「!」



奏さんは、明後日の方を見たまま。目だけツイと、私に向けた。

まるで恥ずかしがってるような、その態度に。なぜだか私まで、ポポと顔が赤くなる。
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