静穏総長も、時には激しく愛したい


「う~、奏さん~……っ」



結局。


「仮眠しよう」と思った保健室での時間は、みごとに泣く時間へと変わってしまい……



「ただいまー……」

「澪音、保健室に行く前よりひどくなってない?」

「うぅ……」



教室に帰った時。

ふくちゃんに、また心配されるのでした。





一方、その頃――




私が走り去った後、一人空き教室に残された奏さん。

「おい!」と言った時に伸ばした手を、私の足音が聞こえなくなった後、ゆっくりと下げた。



「……なんだよ、澪音」



言いながら「はぁ」と、ため息をつく。

そしておもむろに、私のリボンをポケットから取り出し……目を伏せながら、リボンに唇を寄せた。



「自分で”痕が消える頃に”なんて言っておいて……。

こんなにすぐ掴まえてちゃ、世話ないな」



苦笑を浮かべ、眉間に皺を寄せて。

もう一度「はぁ」と、奏さんはため息をつく。

そして私がいなくなったコノ場から、しばらくの間、動かないのだった。


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