静穏総長も、時には激しく愛したい






屍のように過ごした一日が終わり、放課後。



「ねぇ澪音、あそこにいる人。めっちゃカッコよくない?」

「んー、どれどれ……」

「顔は整ってるのに、どこか有無を言わせないオーラがあるっていうか」

「んん……!?」



そういう人物を、一人だけ知っている。

しかも、すっごく身近で!



「も、もしかして――!」



ふくちゃんが指さす方を窓から見ると、案の定――私服姿の澄が、校門に立っていた。


澄は二十二歳って言ってたっけ?

高校生とは違う少し大人びたオーラが、下校する女子たちのハートを鷲掴みにしている。



「なにやってんの、澄……!」

「ん? 知り合い?」

「え!」



めっちゃ知ってる、ってか一緒に住んでる!とは、もちろん言えず。

「道に迷ってるっぽいから助けてくる!」と、謎の言葉を残し、急いで校門へ移動した。



「はぁ、はぁ……ちょっと、澄!」

「良かった、すれ違っていたらどうしようかと思っていました。おかえりなさいませ、おじょ――むぐ」

「静かに!!」

< 82 / 315 >

この作品をシェア

pagetop