静穏総長も、時には激しく愛したい
◇
屍のように過ごした一日が終わり、放課後。
「ねぇ澪音、あそこにいる人。めっちゃカッコよくない?」
「んー、どれどれ……」
「顔は整ってるのに、どこか有無を言わせないオーラがあるっていうか」
「んん……!?」
そういう人物を、一人だけ知っている。
しかも、すっごく身近で!
「も、もしかして――!」
ふくちゃんが指さす方を窓から見ると、案の定――私服姿の澄が、校門に立っていた。
澄は二十二歳って言ってたっけ?
高校生とは違う少し大人びたオーラが、下校する女子たちのハートを鷲掴みにしている。
「なにやってんの、澄……!」
「ん? 知り合い?」
「え!」
めっちゃ知ってる、ってか一緒に住んでる!とは、もちろん言えず。
「道に迷ってるっぽいから助けてくる!」と、謎の言葉を残し、急いで校門へ移動した。
「はぁ、はぁ……ちょっと、澄!」
「良かった、すれ違っていたらどうしようかと思っていました。おかえりなさいませ、おじょ――むぐ」
「静かに!!」