静穏総長も、時には激しく愛したい
「お嬢様」と言いそうになった澄の口を塞ぎ、急いで人気のない場所へ移動する。
あまり目立ってないはずだけど……どうか変な噂が流れませんように!
「ちょっと澄! なんで学校まで来てるの、連絡してよ!」
「そうおっしゃらずに。最近は物騒だと聞いたので、迎えにあがったのですよ」
「頼んでない!」
きっと私を元気づけるためにサプライズを、とか思ったんだろうけど……。
逆に心臓に悪いからやめて!
「それに”物騒”と言っても、いつも友達と帰ってるから大丈夫だって」
「いやね、もしかしたらお嬢様が不良にからまれ、そして無理やりリボンを持って行かれたのではないかと……。
そんな不吉な事を思ったもので」
「!」
「しかし杞憂でしたか。それなら良かった。私はどうも悪い想像をしてしまって、いけませんねぇ」
ねぇ――と言いながら、私をチラリと見る澄。
その言葉にギクリと反応した私を……優秀な執事が見逃すはずがない。